「やぁ!ミア!今日はよろしく頼むよ!」

「はい!」

車の中で荒井さんが用意した私服に着替え、レコーディング室に入った。

「よし、ミア!準備はいいかい?」

「OKです!!」

曲が流れ始め、息を吸う。

そしていつものように歌い出す。

橘のことも、何もかも忘れるように…。


―――……

「今日はお疲れ様」

「…疲れた」

荒井さんの車に乗り、ぐったりとする。

何回歌わせればいいんだよ、あのオッサン。

ふと、車の時計を見ると10時を回っていた。

「陽菜、明日はジャケット撮りがあるから。今日みたいに遅れないでね」

「……うん」

眠い…。

車が動き出すと、途端に睡魔が襲う。

私は逆らうことなく眠りについた。


「―…な、陽菜!!着いたわよ!!」

「……ん」

「ほらしっかりして!!マンションに着いたよ!!」

「―…わかった」

やっと起きて、荒井さんにそう言って車から降りた。

「じゃあ明日も学校に迎えに行くから」

「…はい」

そう言うと荒井さんは車を出し、帰った。

私も帰って寝よ。