ふぅ~…。

ここが一番落ち着く。

「ここ、風が気持ちいね~」

「…うん」

私と真奈美の間に風が吹いた。

栗色をした長い私の髪が揺れる。

教室には居たくなかったので、ここにサボリに来たら、真奈美もついて来た。

「…仕事は順調?」

「…まぁまぁかな」

「…そっか」

「………」

真奈美は私の事を良く知ってる。

だからこれ以上は聞いてこなかった。

心地良い風と沈黙が辺りを支配する。

だが、それを真奈美が破った。

「…陽菜、あの時から笑わなくなったね」

「…………」

いきなり言ってくるから少し、驚いた。

「…ずっと陽菜と一緒にいるけど、笑ったの見たの、ミアの作り笑いだけだよ」

「…………」

笑えないよ…。

今は、笑えない―…。