「うん…多分、そうだと思う…」


それはどこか願望にも近い言葉。
でもそう思える確信もあった。


「基哉の秘蔵っ子、だったし」
「あぁ、そうなの?」
「うん。部活見てるといっつも一緒にいた」
「成程ね。友響ちゃんのこと好きになっちゃったけど、
でも友響ちゃんはずっと基哉くんを想っているから苛立ったと」



淡々とした口調で真相を見抜いた相模を見て、思わず閉口する。


「あれ、違ってた?」
「…ううん、合ってる……」


慌てて首を横に振り、マグカップに口を付けた。
啜らなきゃ飲めなかった温度が丁度よく冷めている。


「確かに周りは焦れるよね。優先順位が友響ちゃんと違うだけだ」
「うん。それは、わかってる…」


わかってはいる。いつまでも熱を保ったままいる訳ではないことくらい。
だけど、どうしても割り切ることは出来なかった。
テーブルにマグカップを置いて静かに息をつく。


「わかってるけど…」