「どうしたの?」


もう1年以上経つ。
明日には18歳になる。
なのにこんなに、こんなにも…


「…こんなだから…後輩にまで付け込まれちゃうのね…」


自分の鈍感さが情けなくなった。
判断基準をどこまでもそこに結び付けていたことに今更気付く。

自らを守ることすらもそれに委ねているなんて
そんなの基哉に求めるものじゃない。
あまりにも依存し過ぎてる…



「ノスタルジックな部分が付け込みやすいのは確かだね。誕生日とかメモリアル的なそれがあるなら尚更」
「それって卑怯」
「目的の為に手段を選ばないってだけのことだよ。あまり男を見くびらない方がいい」


思った以上の突き放した言葉。
だけど言われてしょうがないことでもある。
想いを知らなかったというのは言い訳に過ぎなくて
見くびっていたのもまた事実だった。


「気になってしまうのはわかるけどさ」
「ほんとに知ってたかどうかも…わからないのにね」
「言ってる可能性は十分にあるね。結構前から準備したりするよ。特に男はロマンチストだから」


ロマンチスト。
確かに基哉はそうだったなぁ、と思い出して
強張っていた表情を緩めた瞬間

考えたくないことに思い当たってしまった。