私は、次の日の学校の休み時間、隣のクラスのちーちゃんの下にいた。


ちーちゃんの机に両腕を乗せ、膝立ちスタイルだ。


まだ少し、昨日転んだ膝の傷が痛むけれども。


「今日のナカヤマ先生、ブルーのシャツだったよ。何気に似合うんだよねー」


「ナカヤマね。確かにカッコいいわね。……それにしても、ララ、ナカヤマのファンだったっけ?」


「いや、……他に、クラスで目の行くところがないから……」


クラスの話題がない。


クラスでの友だちの話題がないんだ。


するとちーちゃんは、クラスメイトの誰かに名を呼ばれ、そちらを向いた。


「ああ、ごめん。ララ。私、ちょっとあっち行ってくるわ」


そう言うと席を立ち、私に再度“ごめん”と片手を挙げ、行ってしまった。


ちーちゃんは、あたらしい友だちに呼ばれ、雑談に加わりに行ったみたいだ。

……はぁ。


私はため息をつき、自分の教室へと戻った。


居場所がないや……。


自分のクラスへ入るなり、そんな空気を感じた。


どこを見ても、ひとりでいる生徒なんていなかった。


みんな、これから授業が始まるってのに、自分の席に着いていやしない。


輪になったり、群がったりして、楽しそうに談笑している。


いいや。もうすぐ授業始まるんだし。


ひとりでも……いいや。

私は席に着き、次の教科の用意を始めた。