それにしても、新学期早々、ついてないな。


寝坊するし、転ぶし、こんな席だし。


席替えするのは、きっとしばらく経ってからだろうな。


まあ、いいや。


私は救急グッズをカバンにしまい、頬杖をついて窓の外を見た。


いー天気だなぁ。


このクラスには、親しいひとはいないようだった。

1年の時のクラスメイト、ちーちゃんとも由香ともさっちんとも、クラス分かれちゃったみたい。


遠くに見えた女の子も、去年クラスは一緒だったけれども、そんな仲良くしていなかったしなぁ。


あーあ。


お日様の光が届くってだけが、この席のいいところかな。


それにしても、なんで男子側の席なのよ。


女の子に囲まれて、あたらしい友だちと楽しいスクールデイズ、送りたいな、なんて思っていると。


するとまもなく、教室の前のドアが開いて、先生が入ってきた。


――あ。


「ひゅう、ナカヤマー」


「あー、ナカヤマー」


先生の登場で、教室内がワッと沸く。


中山祐太先生だった。


黒くてサラサラの髪。


同じく、黒くしっかりとした眉。


体の細い、若くて、ノリのいい先生。


生徒たちからとっても人気があるんだ。


事実、生徒たちに“ナカヤマ”と呼び捨てにされても、慣れているというか、嫌な顔ひとつしない。


「そういうわけで、このクラスの担任を持つことになりました、中山です。1年間、よろしくっつーことで」


わあぁ……と拍手が沸き起こる。


私も自然と手を打っていた。