「芳、もういいのか」


カズくんが先に声をかけた。


オデコにひえピタを貼っていた彼が振り向く。


「ああ、熱が少しあるだけ」


私とカズくんを交互に見、微笑して見せた。


「――この問題児、ちゃんと家まで送ってやってちょうだいな」


と、机に向かっていた保健の先生がにっこりと笑って言った。


そうだよなぁ、問題児……。


この間は徹夜で保健室。


今日は風邪で保健室。


ベッド、占領しすぎ。


ここは、芳くんの部屋かってーの。


「――はい、スミマセン」

私は何故か謝ってしまう。

「どれ。おぶってやろう。フラフラするだろ」


そうして、芳くんはカズくんの背中に乗り、私たち3人は帰途に着いた。


途中のコンビニで、私は芳くんにソーダアイスを買ってあげた。


「冷たくてうめぇ」


カズくんの背中で、呑気にそう呟く。


本当、子どもっぽいんだから。


なーにが、“カッコイイって言われたい”よ。


しっかりしなさいよ、もう。