「いや、俺って、彼女いたりしたことないから、つきあうってことに興味ある」

「そうなんだ? 芳くん、カワイイのに」


私がオレンジジュースのキャップを開けながら言うと、今度は芳くんの方が苦笑して、カクン、とコケてみせた。


「カワイイは嬉しくないな。男にカワイイはないだろ」


「カワイイ、いーじゃん。ブサイク、と、カワイイ、言われるのどっちがいい?」


「カッコイイって言われてーよ」


「――男のひとは、いざっていう時にカッコよければいいのよ」


「――」


私の言葉に、芳くんは黙って私を見つめた。


「――何だか、恋愛上級者のような発言だな」


「あはは。上級者なんかじゃないわよ。好きなひとも、久しくいないし」


「そうか。俺もいないよ。ずっと。女の子とあまり接する機会もないしな。カズの野郎とつるんでる時間が多いからなあ」


「私も、男友達っていないな。とかく、芳くんとカズくんみたいに、いつも一緒にいる友だちって初めてかも……。男女の友情って、ほんとにあるんだね」


と、自分で言ってはっとした。


芳くんも、ぱっと顔を上げて私を見た。


2人とも、同じことを考えたと思う……。


カズくんは、私にどういう気持ちを抱いているのだろう。


「――カズもなあ……」


やはり、彼の名前を呟いた芳くん。


「うん。とりあえずは気にしないようにしてみるわ」

「俺、でも今回の件に関しては、アイツの考えてることよく解んねー。様子見だな」


「うん」