私は立ち上がり、先だって歩き出した。


すぐそこに、そこそこ大きな公園がある。


四阿(あずまや)があって、木でできたテーブルも天井もある。


私たちはそこへ着くと、椅子に座った。


芳くんは、正方形のテーブルの、私の真向かいに座った。


「ジュースとお菓子、買ってきた。あと、チーズ」


嬉しそうに芳くんは言った。 


まるでおやつに喜ぶ子どもみたい。


「チーズ?」


「割けるチーズ。剥いていくのが楽しいし、おいしい。俺、好きなの」


「うん。おいしいよね」


「ララちゃん。オレンジとコーラ、どっちがいい?」

「あ……オレンジ」


私の言葉に、芳くんはジュースのペットボトルを手渡してくれた。


「あと、ポッキーと、ポテチもあるよ」


「あ、お金、私出すよ」


「いーよ、いーよ」


「だって、うちのお店だし」


「いーって」


私の申し出を一蹴すると彼はコーラのキャップを空け、口をつけた。


「……なんか、楽しいな」

「私もなんか楽しい」


同意すると、私たちは暗がりの中、見つめあった。

遠くの方に電灯はあるけれど、この四阿までは強い光は届かない。


芳くんの目が、辛うじてキラキラしているのが見えた。 


「俺、今まで女の子とこんなに仲良くなったこと、なかったからな。ララちゃんと一緒にいられて、嬉しい」


その言葉に、ぽっとこころに火が灯る。