前に座っているのは、右斜め前が少し天然パーマ気味の小柄な男の子。


左斜め前が、背が高くて目がくりくりとしている男子。


2人して、ずっと前から仲がいいように談笑していた。


私が彼らの後ろに座ると、2人は私のことをちらりと見たけれども、またすぐに笑顔で会話をし始めた。

私は膝を伸ばして、膝の後ろにタオルを当てがい、ペットボトルの水でさっき転んだ傷を洗い流した。


そして消毒液をつけ、傷が3倍早く治るという潤い療法のバンソウコウをぺた、と貼った。


そんな私の様子を、右斜め前に座っていた可愛らしい男の子が、ちらちらと見ていた。


彼の隣に座っていた、背の高い子がその子の視線の先の私を見て、声をかけてきた。


「……ケガしたのか?」


私はその低い声に気づき、顔を上げた。


「ああ、うん。いつものことですよ」


同級生でありながら、初対面なので敬語が出た。


背が異様に高い……座っていても解る。


だから私、ちょっとすごんじゃってそんな言葉遣いになっちゃったんだと思う。


「それ、全部自前?」


と、小柄な子が、私が机の上に置いた救急グッズを見て言った。


小柄といっても、隣に座っている男子が大きいひとだから、小さく見えるのかもしれないけれど。


「ああ、うん。そう」


「すげえな」


「よく転ぶから」


この可愛らしい男の子には、タメ口で話せた。


今さっき転んだのは右膝だけれども。


左足のスネのところに、この間自宅の階段で打った痕がまだ残っている。


階段を昇りながらコケて、……手をつかなければ危うく顔まで打つところだったんだ。


もー、この転び癖、昔からだから。


一通りの薬は、常に持ち歩いている。


はぁ。