とにもかくにも。


私は夜中に出歩く、というのが楽しくなってきてしまって、さっきまでの気分はどこへやら。 


ウキウキしながら、パジャマから私服へと着替えた。


お父さんは、コンビニの夜勤で出払ってるし。


お母さんは、日勤にそなえてぐっすり眠ってるし。

私は、堂々と家の外で待っていた。


しばらくして、私を照らすヘッドライトに気がついた。


あ、芳くんだ。


彼も私に気づいたらしく、私の前に来ては原付のエンジンを止めた。


「ララちゃん――何も外で待ってることなかったのに。危ないよ」


「あはは、危ないんだったら、誘わないでよ」


「ひとりになるなってこと」


そう言って、彼はヘルメットを外し、原付の中に収めた。 


「俺、空手の段持ってるからさ」


「へえ、それはこころ強いね」


「へへ」


そう笑うと、辺りをきょろきょろと見回した彼。


「ああ、原チャね。ローソンの前に止めなよ」


「ありがと」


バイクを押して移動する芳くん。私も一緒に横を歩く。


そしてお店に近づくと……ああ、お父さんがレジに立って接客をしていた。


この時間帯、ひともまばらだから、お父さんに気づかれないようにしないと。

「俺、ちょっと行ってくるわ」


私が父親を警戒しているところ、芳くんはそう言って、お店の中に入ってしまった。


私は公衆電話の横に腰を下ろして彼を待つことにした。


ああ、今日は夜空がキレイだ。


星々たちも、まんまるお月様も、漆黒の闇を明るく彩っている。


夜って、何だか不思議な時間。


星もそうだけれど、昼間とはまた違ったものが見える。


うん――。


芳くんとこうして夜に会うのも、またいつもとは違って、楽しい。


「おまたせー」


と、芳くんはコンビニ袋を引っさげて店から出てきた。


「どっか近くに公園かなんかない?」


「ああ、うん」