「ふっかああつ!」


HRが終わり、放課後になると両手を挙げて芳くんが勢いよく教室へと入ってきた。


「おう」


教科書類をリュックに詰めていたカズくんが、彼に気づき声をあげた。


さあ、これから帰ろうという時。


私はいつ、カズくんが私に話しかけてくるか、何を言ってくるかドキドキしていた。 


そんな時にタイミングよく、芳くんが現れてくれてほっと息をついた。


その後は、芳くんを交えて、カズくんはまるで何もなかったかのように私に接していた。


3人で帰る時も、別に変わった様子はなかった。


私を避けるでも、逆にまとわりつくでもなく。


飄々とした、いつものカズくんだった。


こっちは未だにドギマギしてるというのに……。


だって、あんなことされたら、意識するって。 


……間に芳くんがいてくれて、よかった。