彼は元々口数が少ないのか、それからは、2人とも、ひと言、ふた言くらいをぽつぽつと放つくらいの会話をし、食事を終えた。


「お腹いっぱい〜。……熱っ!」


食後に、カズくんが持ってきてくれた学食のお茶に手をかけ、こぼしてしまった。


「おいおいおい……」


カズくんは、すかさず立ち上がって、倒れた湯飲みを直してくれた。


私も咄嗟に立ち上がり、食堂の隅に設置されている洗面台に向かった。


水を勢いよく流し、右手を冷やした。


手の甲がやられたみたい。

赤くなってきて、ぴりぴりする……。


あー、私って、どこまでドジなんだろう……。


「大丈夫か?」


背後からぬっとカズくんが現れた。


「うん、ごめんね」


「保健室、行った方がよくないか?」


「そうね。――何だかここ頻繁に行ってるわ」


今日に至っては2回目だ。

物理の時間に芳くんを、すやすやベッドへと連れて行った以来。


「ごめん。じゃあ私、行ってくるわ」


「いや、俺も行く。芳の具合も見たいし」


私は頷いて、そして2人で校舎1階のオアシスへと向かった。