何だかさっきまでの憂鬱が嘘みたいに晴れて行く。

「なんで君は……図書室なんかに弁当を持って行ったんだ?」


と、長身で、よくよく見ると、大理石でできた彫刻のように美しくて、彫りの深い顔をしたハンサムな子が尋ねてくる。


真実を話すのは、少しためらわれたけれど……友だちがいないことを思い切って打ち明けた。


すると、2人ともにこにこと笑顔になって、


「なーんだ。だったら、俺らに声かけてくれればよかったのに」


と言ってくれた。


ぽんぽん、と肩を叩かれ、

「友だちになろう」


と、長身の子が言った。


私は嬉しくて、すごく嬉しくて、こころからの笑顔がこぼれた。


「えっと……なに、ちゃん?」


「ララ。綿貫羅々です」


「ララちゃんね。OK。俺、佐取和芳(さとりかずよし)」


と、小柄な子。


「小郡和哉(おごおりかず)や)」 


長身の子が続けて言った。

うん、と私は頷く。


「和芳くんに和哉くんね。……ああ、2人とも名前似てるね」


「うん。だから俺はカズって呼んでる」


「俺は芳(よし)って呼んでる」 


「カズくんに芳くんね」


長身の子がカズくん。


私とあまり変わらない背丈の子が芳くん。


……思わぬ友だちが、できた……。