チャイムが鳴ると同時に自分の教室へ戻ったけれど、みんなは一応席についてはいたものの、近くの子とガヤガヤ楽しそうに話していた。


私は、揃った机の列からはみ出している自分の席へとついた。


前の席の男の子2人も、相変わらず楽しそうにしているし。


あーあ。


私はまた、ため息を落とした。


もう、やだ……。


一番後ろの席だから、教室全体が見渡せる。


クラスの中には、こんなに生徒がいるのに。


どうして、こころを通わせる相手が……いや、こころまでとは言わない、言葉だけでも交わせる相手がいないんだろう。


なんてうらめしく思っていると、やがて英語の先生がやってきた。


「HELLO EVERYONE」


綺麗で可憐で若くて……まだ女子大生と言っても過言ではない先生だった。


私は教科書を手にし、ぱらぱらとめくってみた。


まだ、あたらしい紙の匂いがする。


この教科書に書き足したり、落書きしたり、真っ黒にして、ページの最後まで授業を終えるまで、私はこのクラスから抜け出すことはできないんだ……。


なんて、全てをマイナスに捉えてしまう。


全くやる気が起きなくて、私は窓の景色をずっと見ていた。


……すると、しばらくして。


ズッ、ズズッ。


と、鼻をすする音が聞こえた。


――誰か、泣いてる……?


授業中にまさか、と思い、視線を前に戻すと、右前に座っていた小柄な男の子がうな垂れているのが見えた。


――?