「――部活にでも入ってみたらどうだ? 仲間、できるかもしれないぞ」


部活、なんてもってのほか。


今更、組織化されたものに飛び入ったって、どうせぽつんとひとりで浮くに決まってる。


「――」 


私は黙ったまま、立ち上がった。


「ララ、膝……」


「……ああ、また打っちゃって……」


「昨日の今日で、またすりむいちゃったか」


濃い眉を八の字にして、先生は苦笑する。 


ああ、バンソウコウ、貼り直さないと。


救急キッドなら、教室に置いたままだ。


だけど、教室にはみんながいる……。


昼休みにひとり、行動してても、目立つだろうな。

「――保健室、行きなよ。ラーメンの出前でもとってやるから。薄給な俺でも、おごっちゃる」


ナカヤマ先生はそう言い、私の手を引いて立たせてくれた。


私は小さく頷いた。


「友だち、絶対できるよ。安心しな」


足をひょこひょことさせながら保健室へ向かう、私の背中に先生はそう声をかけてくれた――。