こと切れたように地べたに倒れ込んでるメリ―・アレッサの身体





“オやおヤ、もオ死骸二なったのカ?”





 憎たらしい笑い声



 その声に操られるかのように、ゆらり、と身体が勝手に起き上がる






「っ…、も、やっ・・・!!」



 普段では絶対にない、か細い抵抗が番人を尚喜ばせる




“メアリ―・アレッサ”




 耳にしたくない声が鼓膜の音波を振動させ、耳小骨、うずまき管を通り脳に響き渡る




「呼ぶなっ!!!!!! その名は捨てた!!!!!」




 先程の態度とは一転、睨み付けるように強く言葉を発した




“ククッ メアリ―、どンな気持チだ?苦シイか?辛いカ?ソレとモ幸せカ?”




 ニタニタと下品に笑うのが分かった







“サあ、極上の姫。堕ちルが良イ”





 逃げるように閉じた目に意味はなかった。





 逃げる場所はない。と叩きつけるように、つぶった瞼の裏に映る映像




 幼い自分に手を差し出す男。



 メリ―は、その声だけで呪い殺せるように低く、地を這うようにその男の名前を口にした





「シリウスッッ………!!」






 強く噛み締めた唇には血が


 見開いた目の先には恐怖と憎い男の姿が

 残り少ない自分自身を、理性を溶かしてゆく







“そうダよメアリ―。
そノ調子でなクてハつまラない”






 その声がメリ―の耳に届くことはなかった…



 メリ―の体が再び、糸が切れたように崩れ落ちたからだ











“さア、夢ノ続きヲミよウ…”