場所はトウセの書斎室
「頼まれてた、メリ―・アレッサの情報です」
仕事をしていたトウセが差し出された紙束を受け取り机に置く
「ヤマト殿、メリ―・アレッサに関する情報は、これで全部か?」
「全部ですね。」
「全部ね……」
小さく繰り返したトウセに、ヤマトは悪寒を感じた
「(………トウセ元老員は催眠の術に長けてる。
もちろんこの協定会で、同業者に術をかけることはご法度。
だが、時々元老員は探るような目で相手の目を見た後、全てを悟った表情をする。
術をかけた。なんて議論にも及ばない。
彼はただ、相手の目を見ただけに過ぎないんだから。
そして相手自信も、術を食らったか食らってないかなんて分からない。
―――――術をかけられたのすら気付かないとは・・・・・恐ろしい方だ)」
無駄な抵抗とは思いながらも、意志を強く持つ
「ヤマト殿は、メリ―に世話をやいているが、何か思い入れでもあるんですか?」
「特にないんですがね…あの子には最初っから手を妬きまして。……そのせいなのでしょう。
今でも色々問題を起こすので、目が離せなくて…」
困ったもんです…。と苦笑い
「─────そうですか…。用は終わりました。仕事に戻ってください」
「はい」
一瞬。
ほんの一瞬、トウセの顔に、わだかまりが生まれた気がした…………