「メリー・アレッサ。
トランプをこちらに」



 差し出された右手に戸惑う




「トランプは取り上げないで下さい・・」


「……しかし、あの中でトランプは発動しない。役に立たないだけだ。
渡してくれれば、メンテナンスしといてやるから」



 困った顔のマトヤに悪いと思いながらも尚渋る




「私、この物(こ)達いないときっと、6日間保たないと思うんです・・・」




「(マトヤさんが困るのは分かってるけど、これだけは譲れない)」


「………はぁ」





 しばらく目だけで会話したがその目にマトヤが負け、しぶしぶと答える




「分かった。
だが無駄なことはしないように、番人の仕打ちが酷くなるだけだからな」


「肝に銘じてます」





 そう答えて扉に向かって歩きだせば、次の瞬間に訪れる恐怖に脚が怯える





「(何回積んでも嫌なものは嫌だわ・・ )」




 嘲笑いの顔も強張る






  “汝ノ名を”




 扉からひしひしと出る闇が躰に纏わりつく



「メリー・アレッサ。
特殊適合トランプ適応者」


“おヤおヤ、まタお前カ”




 楽しそうな声。
 そして開く最低な宝箱




“6日間だナ、楽シみダ”