茜は、必死に敬悟の言葉を理解しようとした。


理解しようとはしたが、どう考えても、意味が分からない。


「100パーセントって、それ……私って、人間じゃないってこと……?」 


「地球人の血は入っていない」
 

淡々と語られる、事の重大さに茜の思考能力が付いていかない。


『お前は100%エイリアンだ』だと、そう言われたのだ。


はい、そうですか、と理解出来る訳がない。


「だって、お父さんは? お父さんは、普通の人でしょ……?」


――だったら、100パーセント・エイリアンなんてことは、あり得ないじゃない。


茜は、そう思った。 


「……お前の生物上の父親は、おやじさん、……神津 衛じゃない」


敬悟が言いづらそうに、でも茜の目から自分の視線を背けることなく、言葉を続ける。


「18年前。お袋さん、木部明日香が、遺跡の発掘中の落盤事故でこの里に身を寄せていた神津 衛と共にこの里を出奔したとき、既にお前は明日香に宿っていたんだ。お前の父親は、『主』と呼ばれる、木部の惣領だ――」


思いもよらない敬悟の言葉に、茜は息を呑んだ。


「明日香は、100パーセントの純血体だった。その彼女と、やはり100パーセン異星人の血を持つ『主』との間に出来た唯一の完全体、それがお前だ――」