「それが、『鬼隠れの里』なの……?」


茜は、呆然と呟いた。


「……ああ。そうだ」


敬悟の言葉に『荒唐無稽』と言う単語が、茜の頭を掠める。


『鬼』どころじゃない、『遭難したエイリアン』が出て来た。


もう完璧に、茜の理解の範疇を越えていた。


「じゃぁ、敬にぃも、私も、その宇宙人の子孫なんだ……」


何だかおかしくて、クスリと力のない笑いが漏れる。


まさか、鬼から宇宙人が出てくるとは思いもよらなかった。
 

「良く聞け、茜」


敬悟が茜の両肩に手を置き、その目を見据える。


「俺は、血の濃さから言えば四分の一。つまりクオーターだ。上総でハーフ。そして茜、お前は『主』と呼ばれるリーダーを除いて現存する唯一の純血体なんだ」


「え?」


――なにそれ? 意味が分からないよ?


まじまじと、敬悟の真剣な瞳を見返す。


「……お前は、100パーセント、彼らの血を引いている、と言う事だ」