「木部……上総の言ったことは、みんな事実だ。……俺は神津敬悟ではないし、高田真希を操ったのも、俺だ」
バシッ!!
言い終わるや否や、茜は思いっきり敬悟の頬をひっぱたいた。
生まれて初めて人を叩いた手の痛みよりも、心の方が何倍も痛いのだと言うことを初めて知った。
無言でペンダントを首から外す。
「これが、欲しかったんでしょう?」
ポンと、敬悟の足下に放った。
「あげるよ!」
最初から全部仕組まれていたのだ。
茜は『鬼隠れの里』に来るべく、導かれた。
それも信じて疑いもしなかったこの男の手によって――。
悔しさと憤り。
そして、哀しみ。
渦巻く感情が、涙となってポロポロとあふれ出した。