な、な、なんで江戸時代!?


この石、そんな力もあるの!?


茜は胸のペンダントに手をやる。


「石の力ではないぞ。これは、おぬしの力だ茜」


男が口調を変えて、ニッと口の端を上げた。そこに、真っ白い大きすぎる犬歯が覗く。


その時、吹き込んできた少し強い風になぶられ、男の長めの前髪がサラサラと舞い上がった。


男の浅黒い額に浮かび上がる、白い模様。


それは何かの『文字』のようにも見える。


「ま、まさか……あなた、玄鬼なの!?」


「正解。勘がいいな、茜」


「な、な、なんで!?」


なんで、江戸時代!?


なんで、『私の力』!?


なんで、玄鬼!?


茜の脳内を、疑問符が団体で駆け抜けた。