「あ……れ?」


「どうした茜?」


鳥居の下で急に立ち止まった茜の顔を、怪訝そうに敬悟が覗き込む。


「何か、今、変な感じがしたの」


「え?」


「こう、何だかグニャリって世界が曲がったような感じ……」


上手く説明できない。


それに。


「気持ち悪い……」


「茜!?」


急に吐き気に襲われた茜は、その場にしゃがみこんでしまった。


尚も、ぐるぐる回る世界。


意識が遠くなる。


ニャア!


鋭い玄鬼の鳴き声が、遠くに聞こえた。


あ、この感じ、『あの時』に似ている。


『青い闇』に飛ばされた、あの時に。


ああ、だめ。


だめだよ。


どうすることも出来ずに、そのまま茜の意識は遠のいた。