一秒。
二秒。
なんとも言いようのない沈黙が、場を包む。
「なんてね。冗談よ」
くすくす笑い出した麗香を見て茜は、誰かに似ていると思った。
ニャァ~。
と、その本猫が、茜の膝の上で退屈そうなあくびを一つ。
「それにしても、猫を連れてなんて珍しいわね。犬なら分かるけど」
「は、はい! 寂しがり屋なんですこの子! それにとってもお利口なんですっ!」
「そうみたいね」
くすくす。
茜の反応に、麗香の笑いが止まらない。
どうやら、この美人記者は笑い上戸であるようだ。
「ああ、もうこんな時間ね。話は、歩きながらで良いかしら?」