「う~ん。話は良く分かったけど、そう簡単に取材のソースは教えられないわね。一応仕事だから」
ニッコリと満面の笑みで、麗香が答える。
なかなかどうして、こちらも手強い。
「そこを何とかお願いできませんか? この研究レポートの成績に卒業がかかっているんですよ、僕たち」
ぶっ!
え? 私も!?
茜は、敬悟の『僕たち』のセリフに、飲みかけていたお茶を吹き出した。
確かに、高校生のいとこを連れて大学の研究レポート取材に歩いているのは不自然な話だが、どう見ても化粧っ気のない茜は高校生以上には見えない。
大学生と言うのはかなり無理がある。
でも、ここは話を合わせるしかない。
「あ、あの……お願いします」
茜は、引きつり笑いでペコリと頭を下げた。
「そうねぇ」
ふふふ、と麗香が悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
「君が、一日デートしてくれたら考えてもいいかな。えっと、敬悟君?」
「え!?」
さすがにこの反応は予想外だった敬悟と茜が、同時に声を上げた。