砂利引きの駐車場には、先客が居た。


赤い小型の輸入乗用車が一台、駐車場を入ってすぐの所に停まっている。


運転席に一人、女性が携帯電話で話している姿が見えた。


敬悟がその車のすぐ脇に車を滑り込ませてエンジンを切ると、風に乗って涼やかな声が聞こえてきた。


「分かってますって編集長、ちゃんと定時連絡は入れますよ――はい、郷土資料館は今回ってきました……はい。ええ」


え?


編集長!?


郷土資料館!?


茜は、開けていた窓から聞こえて来たお隣さんの声に、はっとして視線を向けた。


敬悟も玄鬼もそれに習う。


「締め切りには間に合わせますよ、ご心配なく」


――うわ、綺麗なひと。


茜は思わず目を見張った。