時は江戸時代初期。


城主が、町人の妻である美しい女に横恋慕をした。


城主は己の権力を使い、秘密裏に町人を殺させその女を手に入れ思いを遂げた。


だが、時を経て女が城主の子を身籠もった頃、そのことが当の女に露見してしまう。


嘆き哀しみ、城主への呪詛を吐きながら、女は自害して果てた。


己の身のうちに宿った、憎き城主の子もろとも断崖から身を投じたのだ。


その後、城下には夜な夜なその女が鬼と化してさまよい歩き、城下の人間を喰らい始めた。


己の所業を悔い改めた城主は、高名な術者を呼び寄せ、この鬼を退治させた。


その鬼の鎮魂のために建てられたのが『鬼志茂神社』なのだという。