そして、その子はいないけれど、今日、このデートが決まった。


「ひとりだけど、ひとりじゃない。ちゃんと愛してくれる人がいるもんね。大丈夫だよ。」


オリの中で動かない動物を見つめながら、小さな声で囁いた。

やっぱり間違っていたのだろうか。

そう、後悔した途端、満面の笑みで振り返った。


「私、決めた。」


「ん?何?」


「お母さんになる。」


え………そんな大胆な発言して……


「今日はこのこたちのお母さんです。いっぱいいっぱい大好きになってあげるんだ。」


はぁ……びっくりした。


「瞭くんはお父さんね。」


そう言って、俺の腕に細い腕を絡ませた。