知らず知らずにお日様に当たることを避けてきた。

太陽の、空の下って本当に気持が良い。

好きな娘となら尚更。


「ほら、このこ可愛い。」


見せてくれた雑誌に載っていたのは、チンパンジーの子供。


「どこにいるんだろう。このこ。」


そのチンパンジーは、親の育児放棄により、飼育員に育てられた。

群れに帰ることが難しいのだと書いてある。

自分と重ねて見ているのだとわかっている。

家族の愛に恵まれず、教会にある施設で育った自分と。

心が痛んで……。

それでも、彼女は、美羽は、笑って言ったんだ。


「このこに逢いたいな。」


それはそれは優しい表情で、静かに呟いたんだ。


「きっと、良い子だよ。ほら、笑ってる。」