ずっと、無意識に、家族連れが集まる場所は避けてきた。

この動物園も。

小学校の遠足以来。

彼の部屋にあった雑誌。

母親から愛を貰えなかったチンパンジーの写真。

自分に重なったのは確か。

このこに逢いたい。

そう思ったのも確か。

でも、逢いたくないと思っていたのも確か。

それは、動物園の動物たちが、みんな、家族と一緒にいないことを知っていたから。

可哀想……そんな風に思っていたから。

辛くなるから。

だから、自分の中から無いことにした。

ただの勝手な我が儘。











私は……可哀想?










同じだ。

「可哀想」

そう言われるのが一番嫌いだった。