「腹減った。母さん、子供に愛をあげるのも良いけど、父さんにもご飯ください。」


時計はすっかり昼を過ぎている。

実は開園からいるんです。


「せっかくだから朝一番が良い。」


そう可愛く言われたら、断る理由が見付からない。


おかげで、ほとんどの動物を見たのに、まだ昼過ぎ。

まだまだこれから。


「そうだね。お弁当食べる?」


「うそ?!」


弁当!

お母さん、お父さんは幸せです。


ベンチに腰を下ろし、背負っていたリュックから可愛い巾着袋を出した。


「あ…………水筒忘れた。」


ペロッと舌を出しながら肩をすくめた。


「買って来る。何が良い?」


「おにぎりだからお茶が良いな。」