「聞いてよ皆!この子、神谷くんのパシリ」
会長が、役員の人達の前に立つなり、そう言った。
「いやいやいや!パシリとかじゃないですから!頼まれ事を引き受けただけですから!」
私は両手を小さく振って、会長の発言を否定する。
「涼介が人に何かを頼むなんて、珍しいわね!一体どんなことを言われたの?」
長い黒髪が美しい先輩にそう問われ
「体調不良で休みますって伝言を受けました…」
と答えると、生徒会室はどっと笑い声に包まれた。
今の言葉のどこに笑える要素があったのだろう。
私にはそれが皆無だ。
「あのー…そんなに面白いですか?」
「面白いに決まってるじゃん!あの神谷くんが…傑作だ!」
「えっと、よくわからないんですけど…」
会長に目で助けてと訴えると
「あ、なっちゃんここ座ってよ」
と笑顔で促され、そこに腰を下ろした。
「貴女、なっちゃんっていうの?」
「はい、本名は和泉奈都と申します」
「あたしは、三咲郁(ミサキイク)よ。宜しくね、なっちゃん」
と言って微笑む、その黒髪と白い肌が印象的な郁先輩。
「あ!俺は、向井光輝(ムカイコウキ)っつーんだ!宜しく!」
続いて、光輝先輩が眩しいスマイルを見せながら言った。
「にしてもあの神谷くんがねぇー」
私の隣に座る時矢先輩がぼそりと呟く。