(いてぇ、何だ?)

俺は机の上に落ちた紙を広げた。

「」

(アイツか?)

俺は辺りを見回して、あの子が教室を出るところを見つけた。


俺は急いでカバンを取り、後をつけた。


並木通りまできて女の子に追いついた。


「待てよ、どういうつもりだ」

女の子の腕をつかんでひきとめた。


「かぎかっこ」

「だから、それがどうした?」

「………」

(またかよ)

「話さなくても通じる」

「分かんねぇ」

俺は女の子の腕を離して座りこんだ。

「雲」

女の子は空を指さして言った。

俺は空を見た。

夕焼けが雲に映ってキレイだった。

女の子も隣に座って夕焼け雲を見た。

だいぶたって太陽が沈んだ。

「送るよ」

「うん」

(素直じゃないか)

俺たちは並木通りを並んで帰った。