「ムカつくんだよ、そのガキが。」

俺はいつものように自販機の前で、雅に愚痴を垂れていた。

「…我が儘?」

「いや、そうじゃねぇんだけど。嘲笑う態度とかマジムカつく。」

あははっと他人事のように笑う。

あのガキの嘲笑う笑い方が目に浮かぶ。

「…でも、良い人だよね。別にチームの悪口言わないし、この前はお菓子買ってもらった!」

マジ?

あのガキに奢られる雅もどうかと思うけど、そんな事をするような奴には見えないから。

「皐月とよく一緒にいるよねって言ってた。人をよく見てるよね。」

うんうんと頷く雅。

俺は、暫く思考が停止した。

「…きっと、な。」

呟いた。

確かに、俺を馬鹿にしたり呆れたりしていなかったんだ。