北街では、そんな大きくもない“闇の蝶”は、“夜の大蛇”と“黒の獅子”を傘下にしている。
力を出さないから、トップではないものの出したら街一番になるはずだ。
「皐月、いるか?」
倉庫の奥の部屋から、今の総長の榊(サカキ)さんが出てきて呼ばれる。
「はい。」
俺は幹部だ。
だから、何かあったのかと部屋に行った。
「…次期総長にする、蝶々だ。」
…蝶々?
部屋に座り、煙草をくわえている背丈のない女がいた。
“闇の蝶”は総長が男だとかは決まっていない。
冗談か何かと思った。
「なんの冗談ですか?」
「冗談じゃねぇ。俺もここ離れっから、次の総長を決めねぇとと思ってな?」
「だからって…。」
このガキが?
さっきからガキは喋らない。
煙を吐いて、俺らとは違う方を向いている。