あの時失ったものはもう帰ってこない。
それはアタシにしか分からない事。
あの時初めてもう恋なんてしないって決めた。
だから…人に心配されるのは嫌だ。
アタシはアタシだから…。



「愛実、里奈今日バイトやから走って帰るね。んじゃまたメールすんねー!」

「バーイ」

里奈が居なくなった教室は何だか寂しい。


「愛実ちゃん」
クラスメートの1人が話しかけてきた。
「ん??」

「何か…校門で愛実ちゃんを待ってる男の人おんで!」

「はい?」

光輝と言うことは聞かなくても分かった。アタシが帰らない限り光輝は校門の前に居るだろう…。
仕方なしに帰る支度をした。

「愛実~!」
屈託の無い笑顔で笑う光輝を見てアタシは自分の汚さが嫌になった。
どうしたら光輝みたいなキレイな心になれるんだろう…。

「別にわざわざ迎えに来なくたっていいのに…。」

「俺ら付き合ってんだから…彼氏はこれ位はしなくちゃ!」

「光輝ってロマンチスト?」

「まぁ…顔に似合わず寒すぎるって言われた事あるわ…ハハッ。」

「あの‥さ。里奈から聞いてんけど…雑誌モデルしとるん?」

「あぁ…。でもモデル言うても…たまーに雑誌に載る位やで…。そんな大層なもんちゃうで…。」

「…で。」

「ん?何?」

「アタシ…光輝とは…」