「空良、あの…」


「ねぇ、私………」


大和の言葉を待つ余裕は私には無い。


「幼馴染みに戻ろっか。」


「ちょっと待てって。俺の…」


「明日で…………良い?」


「明日?」


「ここ、出てくの。」


ソファに倒れ込んだまま、ポンチョに顔を埋めた。


「なんで?なんで出てくの?」


「大和に新しい彼女が出来たから。」


ポンチョの向こうから、大きな溜め息が聞こえた。


「奪わないの?」


奪われたのは私。

去っていったのは、君。


「取り返さないの?」


新しい彼女から?


「取り返してくれないんだ?」


ちょっとだけ溜め息まじりの声。


取り返すことが出来るのなら、きっと、私は逃げなかった。