一週間ぶりに彼女が現れた。
いつもならまず疲れたとこぼすはずの彼女が、やけに明るかったのを憶えている。
二言三言、挨拶を交わすと

「にゃはは。今日は妹がいるのだ」

といって、メッセンジャーに彼女の妹を呼び出した。
私の知る限りの話だが、鬱病仲間というものは、仲良くなると家族扱いをすることが多かった。
ビュネがお兄さんだの妹だのを紹介してきたことがあったが、肉親でも法の下の家族というわけでもなく、ただ仲の良い年上の男と、年下の女というだけのことだった。
今では私もすっかり慣れたし、家族構成なども聞き出したから、妹の五人や六人では驚かなくなっていた。

彼女の、しっぽのいう妹というのもその手合いかと思っていたものだから、私はずいぶんと間抜けな質問をしてしまった。

お姉さんとはどこで知り合ったの?

お姉さんのどこが気に入ったの?

あまりにも的外れなことを聞いてくる私に、彼女も妹も違和感を覚えたのだろう。

「妹だって言ってるだろー。この、毛布!」
「す、すいません」

私が肉親ではないのだと思い違いをしていると気づいてか、彼女はいつものように私を叱った。

七つ年上の彼女の前では、私はただの子供だった。
暗い話をすまいと、ことさらに明るく能天気なキャラクタを演じていた私だったが、彼女と話しているときは、私は本当に明るい人物なのではないかと思うほど自然に爽やかでいられた。
おかげで、いつもバカなことばかり言っていた。
彼女はそんな私を、ときに笑い、ときに呆れ、ときに叱って最後にこういうのだ。

「ありがとう」