「どうしたいんだろ。」


本当の訳を知っているのに知らん顔をするのは優しいから?

好きだから?


「怖いからだよ。」


電車の車内アナウンスに消された呟きは、暗い窓の外に流れていく。

気付いてたかな。

私、今日は泊まる準備してなかったんだよ?

仕事帰りにそのまま買い物して……

きっと今夜もドタキャンだろうから。

だから、買い物だって………キムチ鍋の材料、たっぶり買っちゃったよ。

もしかしたら…なんてちょっとだけ期待してね。

冷蔵庫に入れた材料、駄目になんないうちに使ってくれると良いな。





窓の外を流れるネオンと彼の笑顔が重なり、少しだけ泣きたい気分になった。