チャイムが鳴る。

俺の心臓も鳴る。

合鍵はポケットの中。


『はい。』


インターフォンから聞こえる雅美の声。


「俺、悠貴。」


『悠ちゃん?今開ける。』


ドアの向こうから聞こえる足音。

そして、開いたドア。


「悠ちゃん、どうしたの?」


何も知らない振りの笑顔。


「入って良い?」


「良いけど……」


けど………

その空白が、初めて笑顔を小さくした。


「お邪魔。」


真っ直ぐにリビングへ。




…………見つけた。




消えた宝物達を見つけた。




小さなテーブルに並べられた宝物達。


黙って後ろで息を飲む気配。


そばにあった袋にそれらを入れる。


「行くぞ。」


立ち上がり、戸惑う雅美を真っ直ぐに見つめる。