窓ガラスの向こうで、何かを叫んでいる龍くん。

ごめんね。

龍くんのせいじゃないよ。

でも、こんなに短期間で恋人の浮気………いや、本気を知り、別れを決心出来るなんて、そうある話じゃない。

貴重な体験。

そう思うことにする。

改札をくぐり抜けながら、数えていたはずのネオンを思いだし、何故だかおかしくて笑えてきた。


「別れるって意外と簡単なんだ。」


アパートへの暗い道を歩きながら、おかしくておかしくて、涙を流しながら笑った。










大好きな人が笑っていられるなら、それで良い。

ただ、あの研いだお米はどうなるのかな。

無惨にゴミ箱へ消えていくのを想像しながら、いつまでも眠れずにいた。