キャンセルしたことに何の罪悪感も持たなかったと言えば嘘になる。

でも、新しい恋を見付けたようにウキウキしていた。

だから、3度目のキャンセルをし、今、夕貴が泊まっているホテルのBarにいる。

良い雰囲気で、今夜はもしかしたら………簡単にそんな気分にしてくれる。

ほろ酔い加減で俺を見つめる夕貴。

明日の朝一の飛行機で帰る夕貴をこのまま側に置いておけるにはどうすれば………そんなことを考えてしまうくらい、俺は、有頂天だった。

幸せだと思っていた。










大切な何かが消えるなんて思っていなかったから。

大切なものが何かもわかっていなかったのだけれど……。