「行ってきます。」
アタシは仏壇に手を合わせて呟いた。
すっくと立ち上がり振り向くと後ろにはお華さんがいた。
「お華さん…。」
お華さんとは両親が死ぬ前から姉のように慕っていた人だった。
アタシにとってはとても大切な人。
両親が死んでからまるで家族のように大切にしてくれた人だった。
「お華さん、どうしてここに?」
「さっき、此処にきたら遥ちゃん達の会話聞こえちゃったの。ごめんね。」
「ううん。気にしないで。」
しばらくの沈黙。
どうお華さんに話せばいいのかわからなくてアタシはただこの沈黙に埋もれているだけだった。
「遥ちゃん、本当に行くの?」
先に口を開いたのはお華さんだった。
「うん。」
「けどね、危険な世界よ?遥ちゃん大丈夫?」
「なぁに言ってんの?お華さんはいっつもアタシの強いところ見ているじゃない!」
と、アタシは笑って見せた。
不安げにしているお華さん。
「お華さん。アタシは大丈夫だよ。」
アタシはお華さんの手を握って目を見つめて言った。
お華さんは「そうよね。」と呟いてやっとアタシに笑顔を見せてくれた。
「遥ちゃん、道場はアタシに任せて!」
いつもの頼れるお華さんだった。