あれから1日が経った。
戦いを明日に備えている隊士達は静かに鍛錬を始めたり、刀の手入れを始めていた。
「遥、どうだ?」
縁側に座っていたアタシに後ろから声をかけたのは沖田さんだった。
「ぁ、沖田さん。」
「明日が怖いか?」
「別に、怖くありません。」
真っ直ぐ前を見てアタシは言った。
沖田さんはフッと笑ってアタシの横に座る。
「そうかぁ?俺が初めての戦いに出たときは吐き気がしそうなくらい怖かったな。」
「沖田さんが?」
「あぁ、そうさ。俺だって人間だ、殺し合いなんて慣れるまで時間がかかるものさ。」
「慣れる・・ですか。」
「あぁ、いつの間にか手の感触も匂いも全て慣れてしまった。俺の生活の一部になってしまった。」
と、少し寂しげな笑顔をした沖田さん。
「アタシは怖くないです。」
「そうか?」
「はい。」
確かに怖いとは感じない…と思いたかった。
本当は怖い。
もしかしたら明日アタシは死んでしまうかもしれない。
この心臓が止まってしまうかも知れない。
アタシという存在が消えてしまうかもしれない。