「うぁぁぁ!!!」


鬨の声が響き渡る戦場。

迎え撃つ新政府軍の大将が少し小高い場所でアタシ達を蔑むような笑みを浮かべている。


「遥ッ!」


歳三がアタシの名を呼ぶ。

最後になるかもしれない。

貴方の声を、顔を、姿を見られるのはこれで最後になるかもしれない。


走って行く歳三の姿を横目で追う。

歳三は同じようにアタシを横目で見つめる。

そして、少し唇を噛み前を向いた。


「生き抜け!!」


それだけ言うと歳三は人混みの中に埋もれていった。


「歳三ッッ!!」


無駄だとは思った。

こんなに騒がしい戦場の中でアタシの声が届くはずがないと思った。


だけど、歳三の右手が天に高々と突き上げられアタシの声に反応してくれた。



嬉しかったが、感動している場合ではない。


「ぅるぁぁ!!」


背後から、正面からアタシに斬りかかってくる敵が大勢いる。

アタシは刀を構えた。