「行ってきます。」
掃除に別れを告げてから暫く経った頃、屯所の門の前に立っているアタシ。
横には無言のまま立っている土方さん。
背には少し大きな刀と最低限の荷物。
胸にはお守りと総司との約束。
「帰ってきますよね。」
「さぁな。」
土方さんは出来ない約束はしない。
現実主義者。
だからこそその言葉の重みが伝わる。
あの土方さんでさえ帰ってこられるのかわからないんだ。
これから行く戦場がどれほど悲惨なものなのか……恐ろしい。
「大丈夫だ。護ってやるから。」
「はい、きっと大丈夫です。きっと……。」
そっと呟いた。
胸に握り締めた手をおいて。
大丈夫。
総司とも約束したんだから。