「くそっっ!」
近藤さんがいなくなってから一週間。
土方さんの怒号が屯所に響いた。
「くそっ!あー!ちくしょぅっ!」
とても話し掛けられる雰囲気じゃない。
「ちくしょう!永倉めっ!」
柱を殴る土方さん。
顔が悲しみや悔しさでゆがんでいた。
「…遥か?どうした。」
「ぁ、いや、声がきこえたものですから…。」
「そうか。」
「どうかしました?」
「永倉たちが離隊した。」
意味がわからなかった。
永倉さんが離隊?
「え?」
「靖兵隊になったらしい。」
「……引き止めてきます!」
走ろうとするアタシの腕を掴む土方さん。
「離してください!」
「俺が説得しても駄目なんだ!諦めろ…。」
「そんな!土方さんらしくないですよ!」
「わかってる!俺だってわかってるさ!無理やりでも引き止めてぇよ。」
アタシの手を掴んでいた力が緩んだ。
「だけどよ…アイツ等の人生を俺が変えるわけにゃぁいかねぇ。」