「近藤さんちょっといいですか?」


障子の向こうから声が聞こえた。

「あぁ。」という声と同時に開いた障子の向こうに普通の格好をした男の人がいた。


一般の人……?


「おぉ、山崎か。どうした?」


“山崎”。

聞いたことのある名前。

確か、監察で一番正しい情報を集める人だと何処かで聞いた。


「例のお上からの命令の件ですが。」

「何か動きがあったか?」

「1人、男を捕まえました。情報を掴んでいるようです。」

「そうか、吐かせたか?」

「いえ、強情でして。」


“例の件”、“お上”?

どういう…?


「どうしたものか…。」

「俺が行く。」


土方さんが立った。

その顔は険しくなり今まで見た土方さんでは無いようだった。


「しかし、歳三。」

「俺がやらないとな。」


土方さんはそのまま山崎さんと一緒に出て行ってしまった。

土方さんがなにをするのかとても気になった。


「あぁ、遥。お前はまだ知らなくていい。」


「これからすぐにわかる。」と近藤さんは少し切なそうな顔をした。