「心愛ちゃん?
ついたよ―」

倉崎さんが私の体を
揺さぶる


「あ、ごめんなさい
また寝ちゃって!!」

「ん、大丈夫
よく寝るね笑」

私はこくんと小さく
頷くと
私は窓の外を覗く


私の目の前に
大きな海が広がる


「きれい…」


倉崎さんは満足げに
笑うと
運転席を降りて
助手席の方へまわって
ドアを開ける


「はい」

「ありがとう
ございます」

「どういたしまして」


「…あのさ」

周りには冬だから
誰もいなくて
波の音と自分達の声だけ
が聞こえる


「俺全然わかんないけど
辛い事があるなら

思いっきり泣いて
すっきりした方が
いいと思うよ?

そうした方がまた明日
おもいっきり
笑えんぢゃん」


「え?」

「うん、

今良いこといった!!」


倉崎さんが
得意気に笑って私の方
を見る

「お節介かもだけど!!

初めにあった時に
なんか辛い過去とか
抱えてるのかなって

人と壁作ってるように
感じたし
泣くし

…さっきも寝ながら
泣いてたし

ここなら
誰もいないし
おもいっきり泣けるかな
って

それに偉大な海は
全てを受け止めて
くれるはずだから!!」

私は黙って
倉崎さんの方を見る

「おい、今全力で
ボケたんだから

つっこめ!!!」

倉崎さんは
そう言うと私の頭に
軽くチョプをする


「聞かないんですか?
泣いた理由」


「ん―

だって話たくないでしょ?

話たくなったら
話して?」

私は大きく頷く

「倉崎さん…

ありがとうございます」


「あ!倉崎さんぢゃなくて
いいから!

普通に優人でいい!
敬語も使わなくていい
から!!」

こくんと私は
もう一度頷く

「心愛…

って呼んでいい?」

私の胸がトクンとなる
「うん」

「タメ語に切り替えんの
早っ」

優人が笑う

「優人」

「名前で呼ぶのも早い」

「呼びすてでいい
っつったぢゃん!!」

私は少し頬を膨ら
ませる